サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、民間企業が運営する高齢者のための住宅であり、近年施設数が大幅に伸びている介護職の注目の職場です。ここでは、サービス付き高齢者向け住宅の仕事内容や年収、転職のメリット・デメリットについて紹介していますので、転職活動のヒントにしてみてください。
サービス付き高齢者向け住宅とは?
特別養護老人ホームや有料老人ホームの代替施設として誕生
サービス付き高齢者向け住宅が生まれた背景には、特別養護老人ホームの待機者問題と有料老人ホームの高額費用問題があります。まず、特別養護老人ホームは公的介護施設であるため比較的低めの費用で入所することができるものの、施設数が限られていることから、10年以上も入所を待つ人がいるという社会問題が発生しました。また、有料老人ホームは施設数が多いものの、特別養護老人ホームと比較すると費用が高額であり、月額10万円以上の負担費用増となるケースもありました。そこで、2011年10月に誕生した新しい施設がサービス付き高齢者向け住宅であり、高齢者を支援する施設として増加を続けており、現在では日本全国で1万施設以上が設置されています。
さまざまな要支援者・要介護者の入居が可能
サービス付き高齢者向け住宅では、60歳以上かつ要支援1〜要介護5までの幅広い区分の入居者を受け入れることができるため、公的・民間の介護施設の代替施設として介護サービスを提供しています。特に、2015年4月以降、特別養護老人ホームの入所条件が要介護度3以上の人に限定される方針に変更されたため、サービス付高齢者向け住宅を求める声は大きくなっています。住宅毎に入居条件はさまざまですので、転職活動の際には自分の目指す介護や希望する仕事内容とマッチしているかチェックしておきましょう。
無駄のない費用負担制度が支持を集めている
サービス付高齢者向け住宅は、高齢者向けの住居としての役割がメインの施設であるため、介護サービスがほとんど必要の無い人や日常生活のほとんどに介助が必要な人まで、様々な人が暮らしています。そのため、有料老人ホームの様に介護サービスの費用負担を月額固定にしてしまうと各入居者の格差が生まれてしまうため、多くのサービス付高齢者向け住宅では従量制を採っています。自分の利用した介護サービスの分だけ費用を支払えば良いため、入所者やその家族の納得感が大きく、人気を集める大きな理由の1つになっています。
サービス付高齢者向け住宅で提供される介護サービスとは?
原則として、介護サービスを提供していない
サービス付高齢者向け住宅はあくまで高齢者の住居であるため、介護サービスを提供する介護施設という訳ではありません。通常のマンションやアパートと同じように住居として部屋を貸すことが主な役割であり、バリアフリーや食事など高齢者が暮らしやすい生活環境を提供することで高齢者を支えています。入所者が介護サービスを利用したい場合は、提携先の介護事業所に依頼する必要があります。
安否確認と生活相談を行っている
サービス付高齢者向け住宅が自身で提供している介護サービスを挙げるとすれば、「安否確認」と「生活相談」の2つがあります。まず、安否確認は、入居者の部屋を定期的に訪問することで入居者の在居や健康状態をチェックしたり、食事やレクリエーションの際に食堂やレクリエーションルームに集合しているか確認したりするサービスです。次に、生活相談は、介護サービスの手続きを代行したり入居者同士でトラブルが発生した際に仲介に入ったりするサービスです。
サービス付き高齢者向け住宅で働くメリットは?
身体介助の必要が無いため、体力的な負担が少ない
介護の仕事の中で体力的な負担を感じやすい代表的なシーンは利用者の身体介助ですが、サービス付き高齢者向け住宅では身体介助を行う必要が無いため、体力的な負担が少ない環境で働くことができるというメリットがあります。身体介助が必要な場合は、原則として提携先の介護事業所に委託します。実際に、この負担軽減を求めて、サービス付き高齢者向け住宅へ転職を希望する30代〜40代の介護職員が増えています。
落ち着いた環境で入居者一人ひとりと接することができる
サービス付き高齢者向け住宅は、特別養護老人ホームや有料老人ホームと比較すると、落ち着いた環境で仕事をすることができるというメリットがあります。入居者一人ひとりとコミュニケーションをする際にも、ゆっくりと時間をかけることができるため、信頼関係を着実に構築することができます。
未経験の人も採用されやすい
急激に施設数が増加していることもあり、サービス付き高齢者向け住宅では介護業界未経験の人の採用にも力を入れています。その他の介護施設では介護サービスを提供することが前提にあるため、未経験の人を積極的には採用しないこともありますが、その点、サービス付き高齢者向け住宅では、最低限の安否確認と生活相談の業務ができれば良いため、未経験の人を採用して研修や育成を行うといった取り組みを積極的に行っています。
サービス付き高齢者向け住宅で働くデメリットは?
介護の専門的な知識やスキルが低下しやすい
サービス付き高齢者向け住宅では、身体介助などの介護業務を行わないため、勤続年数が長くなればなるほど、これまでに培ってきた介護に関する専門的な知識やスキルが低下しやすいというデメリットがあります。そのため、将来的に介護施設へ転職を考えている人や転職の選択肢をできるかぎり多く持っておきたい人は、知識やスキルが低下しないように自分で学習を続けておくことが大切です。
仕事の掛け持ちが前提の職場もある
サービス付き高齢者向け住宅の中には、訪問介護事業所が併設されているケースがあり、その両方を掛け持ちしなければならないという職場もあります。また、場合によっては訪問介護がメイン業務になってしまうこともあるため、求人情報を細かくチェックした上で面接時に最終確認しておきましょう。
サービス付き高齢者向け住宅で働く介護職員の年収相場
サービス付き高齢者向け住宅で働く介護職員の年収相場は、250万円~300万円ほどであり、他の介護施設や事業所の年収相場と比較するとやや低めの年収と言えますが、労働環境の良い職場が多いことや介護の専門的な知識やスキルをあまり求められないといったことを鑑みると、妥当な年収相場と言えます。また、サービス付き高齢者向け住宅は民間企業が運営する施設であるため、中には500万円を超える求人もありますので、実際に求人情報をチェックしてみましょう!
介護専門の転職サイトで、サービス付き高齢者向け住宅の求人を探してみよう!
サービス付き高齢者向け住宅は全国で1万施設以上あることから、求人数も通年で豊富に掲載されていますので、転職シーズンを選ぶということはありません。転職活動を始める際には、まず、介護専門の転職サイトに無料登録しておくことをお勧めします。サービス付き高齢者向け住宅の求人が多数掲載されており、一般的な求人サイトには掲載されていない非公開の求人情報を知ることもできます。また、初めて転職にチャレンジする人であれば、プロの転職コンサルタントに転職相談をすることができるため、安心して転職活動を進めることができます。当サイトでは、特におすすめの介護専門の転職サイトを紹介していますので、参考にしてみてください。